注文住宅を建てる際の窓選びのポイントについて解説します。採光性や断熱性といった機能面で重要なだけでなく、部屋全体の印象を大きく左右します。本記事では窓の選び方や配置のコツ、失敗事例と対策についても紹介しています。
住宅は多くの人にとって、人生で大きな買い物になるでしょう。金額の大きさだけでなく、建て替えや引っ越しの手続きも容易ではないため、住宅選びの失敗はできるだけ避けたいです。
窓は部屋の印象を大きく左右する重要な要素です。そのため、窓の種類や大きさを選ぶだけでなく、どこに配置するかについても細部にわたって検討する必要があります。
本記事では、住宅における窓の重要性や種類、配置のポイントについても紹介しています。窓に関する失敗事例とそれに対する対策についても紹介しています。注文住宅を建てる際に失敗を避けるために、参考にしてください。
住宅における窓の重要性
窓は単なる開口部ではなく、住環境や健康、快適性に大きな影響を与えます。以下では、住宅における窓の重要性について解説します。
窓の3つの役割
窓には、大きく「採光・日射取得」「通風・換気」「視認」の3つの役割があります。
●採光・日射取得:太陽の光を部屋に取り入れる、太陽の熱で部屋を暖める
●通風・換気:風を通す、部屋の空気を入れ替える
●視認:部屋の外を眺める
太陽光の役割のひとつは、人間の体内時計をリセットすることです。太陽光が足りず体内時計と外界の時間にずれが生じると、体調不良や情緒不安を引き起こす可能性があります。光を室内に取り込み体内時計をリセットすることは、健康に生活していくうえで大切です。
寒冷地域では、太陽光を取り入れることで室温を高くする効果も期待できます。また、湿気やカビを防ぐためには定期的に室内の空気を入れ替える必要があります。その際には、換気扇だけでなく、窓が空気の通り道として大きな役割を果たします。
また、外を眺めたり四季の移り変わりを感じたりすることもあるでしょう。窓を通して見える景色によって、部屋の印象も大きく変わるため「視認」も重要な役割といえます。
窓と断熱性
窓やドアといった開口部は、住宅のなかでもとくに熱の出入りが大きい部分です。窓の断熱性を高めることで、夏も冬も快適に過ごせます。
たとえば、内側と外側に二重サッシを設置することで夏は外からの熱を遮断し、冬は室内の暖かい空気を逃がしにくくなります。とくに寒さの厳しい地域では、多くの住宅で二重サッシが採用されています。
空気の出入りが大きい部分は、住宅の断熱性を考えるうえで重要です。
注文住宅の主な窓の種類
注文住宅を建てる際に多く選ばれる窓の種類について解説します。
窓の種類は、主に次の6種類があります。
●引き違い窓
●縦すべり出し窓
●上げ下げ窓
●ルーバー窓
●FIX窓
●天窓
以下では、それぞれの種類について詳しく解説します。
引き違い窓
引き違い窓は、2枚のガラスを左右にスライドさせて開閉するもので、多くの注文住宅で一般的に採用されている窓です。
引き違い窓のなかでも大きく2つの区別があり、人が出入りできる大きさのものを「掃き出し窓」腰の高さのものを「腰窓」と呼びます。引き違い窓はサイズのバリエーションが豊富で、採光性や換気性がよいことがメリットです。一方、構造的に気密性が低くなる点がデメリットです。
縦すべり出し窓
縦すべり出し窓とは、枠の上下に溝がついており、一枚のガラスを回転させて開閉する窓のことです。内開きと外開きの2種類から選べます。縦すべり出し窓は見た目がスタイリッシュなため、洋風の住宅に合わせやすいのがポイントです。全開にすると90度近くまで開けられるため、風を取り込みやすく換気性も優れており、洗面所やキッチンなど、湿気のこもりやすい場所への設置がおすすめです。
上げ下げ窓
上げ下げ窓とは、2枚のガラスを縦に並べて上下に動かして開閉する窓のことです。
上げ下げ窓には、大きく分けて「シングルハング窓」「ダブルハング窓」「バランス窓」の3つの種類があります。シングルハング窓は下のガラスのみ動くもので、ダブルハング窓は上下両方のガラスが動くものです。バランス窓は上下のガラスが連動して動きます。洋風住宅にも合わせやすいおしゃれなデザインが特徴で、複数並べて設置されることもあります。枠の色などにもこだわると、部屋の印象が大きく変わるでしょう。
通気性に優れていながら防犯性も高いといったメリットがある一方で、掃除やお手入れが大変な点がデメリットです。
ルーバー窓
ルーバー窓とは、細長いガラスが複数並んだ窓のことで、ブラインドのような構造をしています。
開けた状態でも雨が入り込みにくく、視線も遮れるので、トイレや浴室などに採用されることが多いです。気密性が低いため、リビングなどの居住空間に採用されることは少ないですが、湿気のこもりやすい水回りには最適といえます。
FIX窓
FIX窓は、はめ殺し窓とも呼ばれ、一枚のガラスを壁に固定した窓のことです。
開閉できないため通気性はありませんが、大きさや形を自由に選べる点が大きなメリットです。換気や人の出入りの必要ない場所に設置することで、デザイン性を高められるでしょう。しかし、開閉して掃除やお手入れができないため、メンテナンスの大変さがデメリットです。
天窓
天窓は屋根面に設置するもので「トップライト」とも呼ばれています。
日当たりが悪い北向きの部屋や廊下などに設置することで、採光性を高める効果が期待できます。天井であれば周囲の視線も気にならないため、寝室などプライベート空間に設置するのもよいでしょう。しかし、光が入りすぎることで夏は暑くなってしまう可能性があります。また、雨漏りのリスクもあるため、設置場所は検討が必要です。
窓の配置を決めるポイントは?
窓の配置を決めるためのポイントについて解説します。
配置を決める際は、次の4つを考慮しましょう。
●採光や風通し
●防犯性やプライバシー
●外観とのバランス
●手入れのしやすさ
以下では、それぞれ詳しく解説します。
採光や風通し
室内の明るさを確保するためには、窓から太陽光を取り入れることが重要です。太陽光を取り入れるために、窓自体を大きくするのもひとつの方法ですが「天窓を設置する」「小さなFIX窓を複数設置する」という方法もあります。
また、対面になる位置に設置することで室内の空気が循環しやすくなり、換気性にすぐれた部屋になります。
防犯性やプライバシー
窓を設置する際は、外から部屋の中を見られてしまったり、空き巣の入り口になったりすることがないように、防犯やプライバシーの確保についても考慮しておく必要があります。防犯性を高める対策は、割れにくい防犯ガラスを採用する、二重サッシにする、シャッターをつける、部屋の中が見えにくいミラーレースカーテンをつけるなどです。
とくにサイズの大きな引き違い窓は、外から部屋の中が丸見えになってしまうことがあります。また人通りの多い道に面していると、周囲からの視線も気になるでしょう。防犯性やプライバシーを確保するためにも、つける位置や種類には注意しましょう。
外観とのバランス
窓の配置や種類を考える際は、インテリアや家具なども含めた全体的なバランスにも注意しておきましょう。たとえば、部屋に光を取り入れたいからと多く配置すると、窓だらけで見た目の印象が悪くなってしまいます。また、窓際には家具やインテリアの配置もしづらいです。機能や見た目に着目するのではなく、部屋全体を見たときのバランスを考えることが重要です。
手入れのしやすさ
種類や大きさによって、メンテナンスのしやすさが変わってきます。たとえば、引き違い窓やすべり出し窓は、比較的お手入れや掃除がしやすいですが、ルーバー窓やFIX窓はどうしても掃除がしづらくなってしまいます。また、位置によっても、メンテナンスの簡単さは大きく変わります。腰の高さであれば掃除しやすいですが、天井や高い位置にあると掃除がしづらくなるでしょう。種類や配置を考える際は「きちんとお手入れやメンテナンスができるか」ということも考慮しておきましょう。
注文住宅で窓を選ぶ際の失敗事例と対策
注文住宅でよくある窓の失敗事例と対策について具体的に紹介します。家を建てて「やっぱりこうしておけばよかった」と後悔しないためにも、ぜひ参考にしてください。
設置場所が悪かった
窓選びの失敗としてまず挙げられるのが、設置場所の選定ミスです。
具体的には、次のようなトラブルが発生する可能性があります。
●日当たりが悪い・眩しすぎる
●家具が置けなくなった
日当たりが悪い・眩しすぎる
たとえば「採光性を重視して大きくしたのに、方角が悪くまったく光が入らない」といった失敗や、逆に「日当たりが良すぎて夏は暑い」といった失敗が挙げられます。また、窓の外に光を遮るものや建物があったり、太陽の角度を考慮していなかったりした場合にも同じ失敗が起こる可能性があります。
対策として、実際に配置したいと考えている場所の日の当たり方を事前によく確認しておくことが大切です。また、周囲に高い建物がないか、光を反射するようなものがないかどうかも見ておきましょう。
家具が置けなくなった
採光性や機能性、見た目だけを重視して配置した結果、家具が置けなくなってしまったというのはよくある失敗です。基本的には、窓のそばに家具を置くことはできないと考えておいたほうがよいでしょう。
とくにリビングや寝室は、ソファやテーブル、ベッドなど大きな家具を配置します。部屋を広く使うためにも、大きな家具はなるべく壁際に置きたいです。対策として、大きさや配置を考える際には「どこに家具を置くか?」ということも同時に考えることが大切です。
窓の数を考えなかった
窓を増やすことによって生じるメリットとデメリットがあります。数が増えることによるメリットは「採光性がよくなる」「通気性がよくなる」「開放感のある見た目になる」などです。
一方で、数が増えることによるデメリットは「外から部屋の中が見えやすくなる」「室温が外気に影響されやすくなる」「お手入れや掃除が大変」「カーテンをたくさんつける必要がある」などです。
窓の数が増えるとその分カーテンが必要になったり、掃除やお手入れの手間も増えたりします。メリットとデメリットのバランスをよく考えたうえで、適切な数を配置しましょう。
機能性のある窓にすればよかった
比較や検討をあまりせずに設計を決めた後で「ここは違う種類にしておけばよかった」というのも、よくある失敗のひとつです。
種類により機能や設置に向いている場所がそれぞれ異なります。たとえば引き違い窓は、どこに設置してもよさそうに思うかもしれません。しかし、キッチンや水回りなどの湿気がこもりやすい場所は、すべり出し窓やルーバー窓のほうが向いています。ほしい機能を明確にしてから種類を選ぶほうが、失敗も少なくなるでしょう。
デザインを重視しすぎた
窓は部屋の印象を大きく左右しますが、デザイン第一優先で決めてしまうと後悔することにもなりかねません。
たとえば「開放感を重視して大きいものを設置したことで、太陽光が入りすぎて暑くなってしまった」「見た目を重視して小さいものにしたら、換気ができず湿気がこもりがちになってしまった」といった失敗があります。
人が集まるリビングであれば採光性が必要ですが、キッチンや洗面所であれば換気性や通風性が重要になります。部屋の特性に合わせて、ほしい機能をきちんと備えた窓を選ぶことが大切です。
担当者に言われるままに選んでしまった
家を建てるという経験は、一生のうちに何度もあることではないため、分からないことや不安なことも多いでしょう。そのため、プロである担当者と一緒に家づくりを行います。
しかし、完成した家で実際に生活するのは担当者ではないため、担当者から言われたことをすべて鵜のみにするのは危険です。家族の人数や、ライフスタイルや好みなどは各家庭によって異なります。
担当者に言われるがまま設計やデザインを決めてしまうのではなく、自分や家族としっかり考えることが大切です。
まとめ
今回は、注文住宅で選ばれることの多い窓の種類や配置のポイントについて解説し、窓選びの失敗事例と対策について具体的に紹介しました。
窓は部屋の印象を大きく左右するため、デザインや大きさ、配置などはしっかり考えて決めることが大切です。また、種類によって機能や設置に向いている場所も異なるため、その場所にほしい機能を明確にし、選ぶと失敗が少なくなるでしょう。
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予算や土地のことなど何から始めたらいいか分からないという方にも、しっかりアドバイスいたします。家族の人数やライフスタイルなどに考慮した窓も提案いたしますので、注文住宅を建てたいと考えている方は、お気軽にお問い合わせください。